系統樹メーカー
生物名を挙げるか、Newick 文字列を貼り付けるだけ。AIが分岐順序を整理し、枝の長さを比率どおりに引き、支持率とスケールバーまで入れた系統樹を描きます。アラインメントファイルもデスクトップソフトも不要です。
系統樹の作例
同じ系統樹の5通りの描き方を、実際の生成結果でご覧いただけます。カードをクリックするとそのスタイルが適用され、拡大すると全体を確認できます。
系統樹とは
系統樹は、種・集団・遺伝子といった生物のまとまりが共通祖先からどう分かれてきたかを示す分岐図です。末端はそれぞれ一つの分類群、内部の節点はその先すべての最も新しい共通祖先、そのあいだの枝が系統にあたります。ふつうの分岐図(クラドグラム)と決定的に違うのは、ここでは枝の長さが量を持つことです。系統樹(phylogram)では枝長はその系統に蓄積した進化的変化量に比例し、年代樹(chronogram)では経過時間そのもの。どちらを読んでいるかはスケールバーが教えてくれます。
発表される系統樹には、たいてい二つの要素が加わります。節点に添えられた支持率——ブートストラップ値やベイズ事後確率——は、そのまとまりをデータがどれだけ支持しているかを示します。そして外群がツリーに根を与え、分岐の方向を定めます。この系統樹メーカーが引き受けるのは作図の部分です。グループを普通の言葉で説明する、Newick 文字列を貼る、手元の分岐年代を渡す——それだけで、AIがトポロジーを確定し、講義スライドにも学位論文にも投稿論文にもそのまま使える図に仕上げます。
要点
- 枝の長さに意味があるのは、図にスケールバーがある場合だけです。なければ、その樹は枝分かれの順序だけを述べています。
- ノードは仮説上の共通祖先であって化石ではありません。名前も標本も伴わないのがふつうです。
- ノードに付く支持率——ブートストラップ値やベイズ事後確率——は、そのまとまりへの確信度を表すもので、年代を表すものではありません。
- 根の位置を決めるのは外群です。無根系統樹は同じ類縁関係を、由来の向きを示さずに表します。
- 隣り合って印刷された2つの末端が遠縁であることもあります。近縁かどうかはノードをたどって読むもので、紙面を横に見て判断するものではありません。
系統樹はこうして作られます
グループを説明する
種名を並べる、枝長つきの Newick 文字列を貼る、分岐年代を渡す、あるいは「大型類人猿」のようにグループ名だけを書く——どれでも構いません。AIが分岐順序と各系統の長さを割り出し、指定がなければ現在受け入れられている系統関係を使います。
ツリーのスタイルを選ぶ
枝長を比率どおりに描き節点に支持率を添えた論文向けの系統樹、横軸が百万年単位の年代較正ツリー、クレードを色分けしたレビュー用の図、末端にイラストを添えたもの、ホワイトボード風のスケッチから選べます。
ワークスペースで仕上げる
生成された系統樹はワークスペースで開き、部分的な修正、ラベルの調整、超解像、高解像度での書き出しができます。スライド、ポスター、学位論文、投稿論文にそのまま使えます。
系統樹の各部の名称
発表された系統樹が担っている情報は分岐の順序だけではなく、そこに加わったものほど読み飛ばされやすいところです。以下はその情報を担っている部位で、系統樹を読むたびに確かめる価値があり、ジェネレーターが図中にラベルできる要素でもあります。
枝長
系統が横方向に伸びた長さ。分岐図が捨てているのがこの量です。
スケールバー
枝長1単位の意味。ふつうはサイトあたりの置換数で示します。
支持率
節点のブートストラップ値や事後確率。その分岐をデータがどれだけ支えているか。
節点の年代
年代較正ツリーで、その節点が横軸のどこに位置するか(百万年単位)。
外群
対象グループの外にある分類群。これがないとツリーは根を持たず、方向を示せません。
末端が揃うかどうか
末端が一列に揃うか、それぞれ自分の深さで止まるか。どちらの種類の樹かを見分ける最初の手がかりです。
姉妹群
一つの節点から出る二本の系統。この樹の上では互いが最も近い親戚にあたります。
トポロジー
根・節点・末端・クレードからなる分岐の骨格。ここはどの分岐図とも共通です。
情報を担っているのは横軸だけです。末端の縦の並び順は作図上の約束にすぎません。どの節点でも二つの枝は自由に入れ替えられますし、同じツリーを直角型・斜線型・円形のどれで描いても、示している類縁関係は一つも変わりません。
根・節点・末端・クレードは、分岐図を含めてどの樹でも同じ意味なので、このページでは定義し直していません。その用語は次のページで一通り説明しています。 分岐図メーカー
系統樹を読み違えないために
この図をめぐる誤解のほとんどは、ツリーが言っていないことを絵から読み取ってしまうところから生まれます。特に押さえておきたい三つを挙げます。
距離は枝に沿って測る。紙の上の距離ではない
隣り合って印字された二つの末端が、実は遠縁ということもあります。近さを決めるのは系統がどこで合流するか——最も新しい共通祖先を共有する分類群がいちばん近い——であり、枝長つきの系統樹での進化的距離は二つの末端をつなぐ枝長の合計です。行と行の間隔ではありません。
枝がいちばん長いものが「進んでいる」わけではない
現生の末端はどれも、根から数えてまったく同じ時間を経てきています。枝が長いのはその系統により多くの変化が蓄積したということで、たいていは進化速度が速いか、早くに分かれたためです。複雑さや繁栄の度合いとは関係ありません。
支持率のない節点は、確定した関係ではない
ブートストラップ値55は、データがその分け方をかろうじて他より好んでいる、という意味でしかありません。支持率が低い、あるいはまったく示されていないツリーが述べているのは仮説です。頼りにできるのは支持率の高い部分だけです。
系統樹はどこで使われますか
論文・学位論文・総説
正確な学名、支持率、スケールバーを備えた見やすい系統樹を、緒言の背景説明や総説、分類学の図版に。データファイルを用意する必要も、作図ソフトを立ち上げる必要もありません。
講義・サイエンスコミュニケーション
年代較正ツリーや末端にイラストを添えた図は、スライドや解説記事がまさに必要とするもの。系統解析ソフトでは描けず、これまではイラストレーターに依頼するしかなかった種類の図です。
進化の単元・まとめノート・実験レポート
進化分野の授業資料、まとめノート、実験レポートに。グループ名を書くだけで、根・節点・クレード・外群が正しく配置された図が得られ、授業用にホワイトボード風の一枚を頼むこともできます。
ファイログラム・クロノグラム・無根系統樹の見分け方
まずスケールバーを見てください。サイトあたりの置換数で目盛られていればファイログラム、年や百万年で目盛られていればクロノグラムです。スケールバーも根もなければ無根系統樹で、類縁関係だけを述べています。 分岐図は4つめの場合です。末端がそろい、スケールバーがなく、枝分かれの順序だけを示します。
| ファイログラム | クロノグラム | 無根系統樹 | |
|---|---|---|---|
| スケールバーの単位 | サイトあたりの置換数 | 年または百万年 | ふつうサイトあたりの置換数 |
| 枝の長さが表すもの | 進化的変化の量 | 経過した時間 | 変化の量 |
| 根があるか | ある。外群による | ある | ない |
| 末端がそろうか | そろわない | そろう。現在の位置で | そろわない |
| 分岐年代を読めるか | 読めない | 読める | 読めない |
| ふつうの入力 | アラインメント済み配列とモデル | 配列と化石による較正 | アラインメント済み配列 |
| 由来の向きを示すか | 示す | 示す | 示さない |
無根系統樹は未完成の樹ではありません。 根の位置をデータが決められないときの、誠実な出力です。外群なしに根を付けるのは、解析が述べていない主張を作り出すことになります。
系統樹についてよくある質問
AI 系統樹ジェネレーターはどう動きますか?
普通の言葉でグループを説明していただくだけです。AIはまずトポロジー——どの分類群がどのクレードを作るか、各系統がどこまで伸びるか、各節点にどの値が入るか——を割り出し、そのうえで指定どおりの学名を末端に置いてツリーを描きます。グループ名だけを渡せば現在受け入れられている系統関係と公表されている枝長を使い、ご自身のツリーを渡せばそちらに従います。
Newick 形式は読めますか?
読めます。Newick 文字列を貼り付ければトポロジーはそのとおりに描かれ、枝長も支持率もそのまま引き継がれます。ファイルが手元になくても、「ヒトとチンパンジーがまず一緒になり、次にゴリラ、最後にオランウータン」のように言葉で書いていただければ同じように機能します。
分岐年代を入れた年代較正ツリーは作れますか?
作れます。年代較正ツリー のスタイルを選んでください。各節点の年代を指定してもよいですし、グループ名だけを渡せばAIが公表されている分岐年代の推定値を使います。図には百万年単位の横軸が入り、節点の年代が軸上に示され、末端はすべて現在まで届きます。
これは系統解析ソフトですか?アラインメントを読み込んだりブートストラップ値を計算したりできますか?
いいえ。論文・授業・スライド・記事のための系統樹の*図*を作るツールであって、系統推定は行いません。配列データからツリーを推定するには MEGA、RAxML、IQ-TREE、MrBayes、iTOL をお使いください。ご指定いただいた支持率はそのまま描きますが、指定のない値はもっともらしい公表値であって、お手元のデータを計算した結果ではありません。
系統樹と分岐図(クラドグラム)の違いは?
分岐図が示すのは分岐の順序だけで、枝の長さに意味はありません。系統樹(phylogram)は枝長を進化的変化量に、年代樹(chronogram)は時間に対応させます。三つとも系統樹の仲間なので、伝えたい内容で選んでください。類縁関係だけが問題なら、分岐図メーカーのほうがすっきりした図になります。
系統樹メーカーは無料ですか?作った図を商用利用できますか?
無料プランでも生成できます(書き出しにはウォーターマークが入ります)。有料プランではウォーターマークが外れ、すべてのモデルと高解像度書き出しが使えるようになり、作成した図は講義資料、出版物、商用素材に利用できます。
系統樹はどう読めばよいですか
近縁かどうかは末端どうしの距離ではなく、ノードをたどって読みます。 2つの分類群を結ぶノードが末端に近ければ近縁、根の方まで戻らないと結べなければ遠縁です。紙面でどれだけ隣り合っていても関係ありません。次にスケールバーを見て枝の長さが何を表すかを確かめ、ノードのラベルを見てそれぞれのまとまりがどれだけ支持されているかを確かめます。
系統樹のスケールバーは何を表しますか
枝の長さの単位を示すもので、まず最初に見るべきものです。0.05 と書かれたバーは、その長さの枝で配列100サイトあたり5回の置換が起きたことを表します。百万年単位で書かれていれば、その樹は年代較正されています。図にスケールバーがなければ、枝の長さには意味がないものとして扱ってください。
系統樹の外群とは何ですか
外群とは、調べたいグループの外側にあることが分かっている分類群で、樹に根を付けるためにわざわざ含めるものです。どの形質状態が祖先的かを示し、それによって残り全体の由来の向きが定まります。遠すぎる外群を選ぶと根の位置が不安定になり、グループの内側から選んでしまうと誤った位置に根が付きます。
ブートストラップ値は何を意味しますか
ブートストラップ値とは、リサンプリングしたデータセットのうち同じクレードが復元された割合です。95 なら100回中95回そのまとまりが現れたことを意味します。データがそのまとまりをどれだけ一貫して支持するかを測るもので、年代の古さでも正しさでもありません。おおむね70を超えると相応の支持とされ、低い値の枝は未解決として扱うのが安全です。
ノードとクレードはどう違いますか
ノードは1つの分岐点で、その先にあるすべてにとって最も近い共通祖先です。クレードは、そのノードとその子孫すべてを合わせたものです。つまりノードは樹上の一点、クレードはそこにぶら下がるグループ全体で、クレードを名指すことはノードを指すことにあたります。
系統樹はどうやって作りますか
図が目的なら、グループを言葉で説明すれば現在受け入れられている系統関係が描かれますし、自分の解析から得た Newick 文字列を貼り付ければそのまま描画されます。研究が目的なら、樹そのものは配列データから作ります。配列をアラインメントし、置換モデルを選び、最尤法かベイズ推定で樹を推定して、得られた Newick をここに持ち込んで描きます。
生命の樹(tree of life)とは何ですか
生命の樹とは、既知のすべての生物をつなぐ唯一の系統関係で、細菌・古細菌・真核生物の分岐の近くに根を置いたものです。公表されているものは必ず要約です。完全な樹なら末端は数百万に達するため、描ける版はどれもグループ全体を1本の枝にまとめ、その図に収まる範囲の解像度だけを示しています。
関連ツールと記事
ほかの図表作成ツールと、その読み方をまとめた記事。