PNAS Nexusのインパクトファクターは4.8(2025年)——そしてPNASとはここまで違う

PNAS Nexusは2025年のジャーナル・インパクトファクター(JIF)4.8、CiteScore 6.7、論文掲載料(APC)3,599 USDを公表しています。画像整合性ポリシーはPNASと一言一句同じでありながら、ファイル形式と解像度では正反対の規定を置いています。指標、費用、図の仕様、そしてPNAS Nexusが一切公表していない4つの数字をまとめました。

Scientific Figure Team
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PNAS NexusはPNASとは、投稿に関わるほぼすべての面で別のジャーナルです。出版社が違い、プラットフォームが違い、図のルールが違い、PNASにはない掲載料があります。そしてPNASが不採択にした論文の移管先でもあります。移管の打診を検討している著者と、コラム幅を一切公表しないジャーナル向けに図版を準備するすべての人のために書きました。

同じ研究の図を2誌それぞれの仕様に合わせて仕上げた2枚の校正刷り。移管の打診が生み出す状況です。
同じ研究の図を2誌それぞれの仕様に合わせて仕上げた2枚の校正刷り。移管の打診が生み出す状況です。 Scientific Figure で生成した画像

PNAS Nexusの概要

指標出典
ジャーナル・インパクトファクター4.8Clarivate 2025
分野内順位(Social Sciences, Interdisciplinary)9 / 275Clarivate 2025
分野内順位(Multidisciplinary Sciences)23 / 140Clarivate 2025
被引用半減期2.1年Clarivate 2025
Immediacy Index1.1Clarivate 2025
Eigenfactorスコア0.01629Clarivate 2025
Article Influence Score1.688Clarivate 2025
CiteScore6.7(Multidisciplinary分野で27 / 223)Scopus 2025
SNIP1.422Scopus 2025
アクセスモデルゴールド・オープンアクセス、CC BY 4.0またはCC BY-NC 4.0ジャーナル公表
論文掲載料(APC)3,599 USD(Brief Reportは2,101)OUP
収録データベースDOAJ、Scopus、Web of Science ESCI、PubMed Centralジャーナル公表
採択率未公表

PNAS Nexusのインパクトファクターはいくつか

2025年のジャーナル・インパクトファクター(JIF)は4.8です。ジャーナル自身のAboutページに掲載されており、出典はClarivateと明記されています。

これほど若いジャーナルでは、数値そのものより分野内での位置のほうが意味を持ちます。PNAS NexusはSocial Sciences, Interdisciplinary分野で275誌中9位Multidisciplinary Sciences分野で140誌中23位です。前者はかなり強いポジションで、後者はPNAS本体と同じカテゴリーで、その9つ下に位置しています。

注意して読むべき数字が1つあります。被引用半減期の2.1年は、PNASが公表する11.5年と並べると劇的に見えますが、これはほとんどが創刊年の浅さによる見かけ上の現象です。PNAS Nexusは2022年創刊で、引用されうる古い論文がほぼ存在せず、半減期がジャーナル自身の寿命を大きく超えることはありません。この数字は「引用がすぐ死ぬ」ではなく「まだ判断できない」と読むのが正解です。

PNAS Nexusとはどのようなジャーナルか

米国科学アカデミー(NAS)がOxford University Pressと提携して発行するゴールド・オープンアクセスの総合誌で、生物学、医学、物理科学、社会科学、政治学に加えて工学と数学までを扱います。

編集方針として掲げているのは、複数の学問分野の交差点にあり、分野を横断して広く関心を集める論文です。2つ以上の分野を組み合わせた新興領域の学際的研究も含まれます。これは決まり文句ではなく選考基準そのもので、他分野への広がりを持たない単一分野の論文は、投稿先を間違えていることになります。

運営面での実務的な事実は次のとおりです。

  • **査読はシングル・アノニマス(単盲検)**で、担当編集者が通常2件の独立した査読を確保します。編集者が同意する否定的な査読が1件あれば、不採択の判断につながりえます。
  • **投稿前の問い合わせ(presubmission enquiry)は不可。**PNAS Nexusは対応できないと明言しています。
  • 査読済み原稿は受理から1週間以内に公開され、4〜6週間以内に組版・校閲済みの最終版に置き換えられます。

PNAS NexusとPNASは実際に何が違うのか

ほとんどの人がこの比較を必要として辿り着きます。たいていは移管の打診を受けた直後です。健全性や技術的な妥当性以外の理由でPNASが不採択としたResearch Reportは、PNAS Nexusへの移管を勧められることがあり、先に改稿する選択肢もあります。

2誌は、ところどころ一言一句同じ編集・画像整合性ポリシーを共有しています。一方で、制作まわりはすべて異なります。

PNASPNAS Nexus
ジャーナル・インパクトファクター(2025年)9.54.8
被引用半減期11.5年2.1年
CiteScore(2025年)14.7(94パーセンタイル)6.7
Web of Scienceの収録区分Science Citation Index ExpandedESCI
アクセスモデル購読誌(オープンアクセスの選択肢あり)ゴールドOAのみ
採択率13%(Direct Submissions)未公表
線画の解像度1,000–1,200 ppi600 dpi(複雑な場合は1,200)
写真の解像度最低300 ppi最低350 dpi
PowerPointの図受け付ける形式に記載明示的に不可
JPEGの図受け付ける形式に記載なし明示的に不可
コラム幅の公表あり(8.7 / 11.4 / 17.8 cm)なし
最小フォントサイズの公表あり(縮小後6 pt)なし
代替テキストジャーナルがAIで生成著者が執筆

いちばん時間を奪うのはファイル形式の行です。PPTが受け付けリストに載っているPNASのInformation for Authorsに合わせて用意した図セットは、.ppt.pptx.jpeg.jpgもろとも門前払いになるPNAS Nexusでは一部が使えません。移管は再アップロードでは済まないのです。

PNAS Nexusは良いジャーナルか

正直に答えるには、インパクトファクターだけでは見えない文脈が1つ必要です。PNAS NexusはESCI(Emerging Sources Citation Index)に収録されており、Science Citation Index Expandedには入っていません。

Clarivateは2023年にジャーナル・インパクトファクターの付与対象をESCIとAHCIの収録誌にまで広げました。以前ならJIFが付かなかったESCI収録誌にも、いまはJIFが付きます。この変更で3,000社超の出版社の9,000誌以上がJIFの対象に加わりました。つまりPNAS Nexusにインパクトファクターがあること自体は、3年前ほどのシグナルではなくなっており、4.8という数値よりも分野内順位のほうが多くの情報を持ちます。

それ以外の実績はこう語っています。Scopus、DOAJ、PubMed Centralに収録され、米国科学アカデミーが発行し、社会科学のカテゴリーで275誌中9位に位置し、PNASと同じ整合性スクリーニングとデータ公開ポリシーを適用している。これらは本物のジャーナルの証であり、PNASの競合ではなく姉妹誌として意図的に位置づけられたタイトルです。

PNAS Nexusの採択率は公表されているか

**公表されていません。**審査期間の中央値も同様です。

これははっきり言っておく価値があります。PNAS Nexusの具体的な採択率を掲げるページは、数字を創作しているか、素性を説明しないサンプルから推測しているかのどちらかです。PNASはDirect Submissionsの13%と、10日・45日という判定中央値を公表しています。PNAS Nexusはどちらも公表していません。

ジャーナルが約束している所要期間は受理後のものだけです。査読済み原稿は1週間以内に公開され、組版済みの最終版は4〜6週間以内に掲載されます。

PNAS Nexusでの出版費用はいくらか

掲載料が必須のゴールド・オープンアクセスです。金額はOxford University Pressがこのジャーナル用に提供する料金計算ツールから取りました。

論文種別掲載料(USD)
Research Report3,599.00
Perspective3,599.00
Registered Report3,599.00
Review3,599.00
Brief Report2,101.00

これは減額前の定価です。動かす要素は3つあります。学会員割引、所属機関が参加している場合のRead and Publish契約、そして国別の免除です。OUPの計算ツールは国の入力欄に免除対象国しか出さないので、誰が対象かを知るうえで妥当な手がかりになります。

ライセンスはCC BY 4.0またはCC BY-NC 4.0から著者が選びます。多くの助成機関はCC BYを明示的に義務づけているので、選ぶ前に助成元の要件を確認してください。

PNAS Nexusが求める解像度

画像の種類最低解像度
印刷用の画像・写真350 dpi
印刷用の線画600 dpi
複雑・細密な線画1,200 dpi
画面表示のみの電子画像72 dpi
ベクター形式(EPS、AI、PDF)該当なし

写真の下限が350 dpiというのは珍しい設定です。ほとんどのジャーナルは300に置いており、習慣頼みのセルフチェックをすり抜ける、惜しい不合格の典型です。書き出しプリセットが300のままなら、ここでは通りません。

ガイドラインはチャート、グラフ、地図、ダイアグラムをベクターへ誘導しており、そこでは解像度の問題自体が消えます。ラスターの出番は写真と絵画です。

ここに書かれていないものにも注目してください。コラム幅も、ページの高さも、最小フォントサイズもありません。PNASは3つとも公表していますが、PNAS Nexusはどれも公表していません。幅の指定がない以上、2段組ジャーナルの1段幅まで縮小されても生き残る図として設計し、そのサイズで判読性を確認してください。PNASの寸法は、このジャーナルを縛るルールとしてではなく、手に入るいちばん近い参考値として扱うのが妥当です。

PNAS Nexusが受け付けるファイル形式

区分形式
ベクター(チャートとダイアグラムに推奨).eps、.ai、.pdf
ラスター(写真・絵画向け).tif / .tiff、.raw、.gif、.bmp
明示的に不可.doc、.docx、.ppt、.pptx、.jpeg、.jpg
補足資料1ファイルあたり最大5 MB

重要なのは不可リストのほうで、そこにJPEGが載っているのが罠です。JPEGはたいていのプロットソフトの既定の書き出し形式であり、TIFFが大きすぎるときに手が伸びる形式でもあります。ここでは受け付けられません。

多くの著者の習慣と食い違う組版ルールが2つあります。

  • **1つの図につき1ファイルとし、複数パネルの図はすべてのパネルを1ページに収める。**3パネルの図は1ファイルであって、3ファイルではありません。
  • 各パネルには左上隅に文字ラベルを付け、A、B、C、Dと大文字で振ります。Natureとその姉妹誌が使う小文字のa、b、cとは逆です。

図のタイトルとレジェンドは画像ファイルではなく原稿ファイルに入れます。

PNAS Nexusの論文に図は何点まで入るか

ページ数の枠はPNASと同じで、図は本文と同じ枠を消費します。

論文種別分量図表
Research Report6ページ推奨、最大12ページ。約4,000語、参考文献50件中サイズの図または表4点
Brief Report3ページ。タイトルページ、要旨、レジェンドを含めて約1,600語ページ枠の範囲内。参考文献15件
Registered ReportStage 1は最大3ページ(約1,600語)。Stage 2は6ページ推奨、最大12ページページ枠の範囲内
Perspective最大10ページページ枠の範囲内
Review最大10ページページ枠の範囲内

数え方のルールは見かけより厳しいものです。**要旨、significance statement、本文、図のキャプション、表のレジェンドはすべてページ数の上限に算入されます。**気前よく書いたレジェンドは、それが説明する図と同じ予算を食っているのです。

著者自身が書く代替テキスト

PNAS Nexusは本文中のすべての画像、図、イラスト、写真に代替テキストを要求し、その執筆は著者の仕事です。これはチェックボックスではなく本物の執筆作業で、締切間際に気づきやすい項目でもあります。

実務の手順は次のとおりです。

  • 各説明文は原稿ファイル本体の、該当する図のレジェンドの直下に置き、頭にAlt text:を付けます。
  • 代替テキストは電子リーダー経由で読者に届くもので、組版された誌面には表示されません
  • 白黒かカラーかを問わず、図のキャプションで色に言及しないでください。「赤い線が」というキャプションは、代替テキストが本来役立つべき読者の前で破綻します。
  • 画像が伝える情報は、キャプションまたは周辺の本文でも説明するよう求められています。

これがPNASとの分岐点として最も鋭い1点です。PNASでは、AIが生成し科学編集者が確認した代替テキストをジャーナル側が用意します。同じ組織の中で、同じ作業の置き場所が正反対なのです。

PNASから受け継いだ画像整合性ルール

ここに挙げるのはPNASのポリシーをほぼ同一の文言で再掲したもので、移管しても基準は緩みません。

  • 画像内の特定の部位を強調、隠蔽、移動、除去、追加してはならない。
  • 複数の出所からの画像をまとめたり統合したりする場合は、図の構成とレジェンドでそのことを明示しなければならない。
  • 明るさ、コントラスト、カラーバランスの調整が許されるのは、画像全体に適用され、かつ背景を含め元画像の何ものも隠さず、消さず、誤って伝えない場合に限られます。
  • PNAS Nexusはソフトウェアで原稿をスクリーニングし、比較のために元データの提出を求めることがあります。オリジナルを提出できない場合、原稿は不採択になりえます
  • **ブロット、ゲル、顕微鏡画像などの生の視覚データと、撮像システムからの直接出力はすべて未加工のまま保管しなければなりません。**求めに応じてデータを提出できない、あるいは拒否した場合は、不採択や掲載後の撤回の理由になりえます。
  • 個人を特定できる人の顔が写る図には同意が必要です。
  • エラーバーと統計は独立した実験に基づくものであり、単一実験内の反復に基づくものではありません。
  • 無断の複製など図の不適切な組み立てが疑われる場合は、COPEの手順に従って著者の所属機関や助成機関に報告されることがあります。

研究の過程で生成AIを使った場合はMaterials and Methodsに記載しなければならず、生成AIを著者として記載することはできません。

投稿前チェックリスト

  • 写真は300ではなく350 dpi以上にする
  • 線画は600 dpi、細密・複雑なら1,200 dpiにする。ベクターならこの問題自体が消える
  • 図のファイルに.jpg.jpeg.ppt.pptx.doc.docxを一切残さない
  • 1つの図につき1ファイル、複数パネルはすべて1ページに収める
  • パネルは左上隅にA、B、Cとラベルを振る
  • 図のタイトルとレジェンドは原稿ファイルに入れ、画像に焼き込まない
  • すべての図のレジェンドの下にAlt text:の行を置く
  • キャプションで色を表す言葉を使わない
  • 補足ファイルはそれぞれ5 MB未満にする
  • ページ数は要旨、significance statement、キャプション、レジェンドを含めて数える
  • 生のブロット、ゲル、顕微鏡画像を保管し、求めに応じて出せるようにしておく
  • ライセンスは助成元の要件と照らしてCC BYかCC BY-NCを選ぶ
  • 責任著者のORCIDを登録する

よくある質問

PNAS Nexusのインパクトファクターは? 2025年の値で4.8です。Social Sciences, Interdisciplinary分野で9/275位、Multidisciplinary Sciences分野で23/140位、ScopusのCiteScoreは6.7です。

PNAS NexusはPNASと同じですか? 違います。米国科学アカデミーがOxford University Pressと共同で2022年に創刊した、別のゴールド・オープンアクセス誌です。健全性や技術的な妥当性以外の理由でPNASが不採択とした論文は、移管を勧められることがあります。

PNAS Nexusの採択率は? ジャーナルは公表しておらず、審査期間の中央値も公表していません。他所で見かける具体的な数字は、ジャーナル発のものではありません。

PNAS Nexusの費用は? Research Report、Perspective、Registered Report、Reviewは3,599 USD、Brief Reportは2,101 USDです。割引、Read and Publish契約、国別免除がこの上に適用されます。

PNAS Nexusが必要とする解像度は? 写真は350 dpi、線画は600 dpi、複雑な線画は1,200 dpiです。チャートやダイアグラムに当たるものはベクターにします。

PNAS NexusはJPEGの図を受け付けますか? 受け付けません。.jpeg.jpgは、WordとPowerPointのファイルともども不可です。

PNAS Nexusは図のコラム幅を公表していますか? していません。コラム幅も最小フォントサイズも公表しておらず、どちらも明記しているPNASに対する実質的な欠落です。

次に読むもの

PNAS Nexusは、このシリーズの中で「指標より制作ルールを読むべきジャーナル」の最も分かりやすい例です。インパクトファクターが教えてくれるのは、堅実な出版元から出た若いESCI収録誌だということまで。投稿のために確保した午後で足りるかどうかを教えてくれるのは、ファイル形式のリストのほうです。

PNASからの移管が来訪のきっかけなら、このページとPNASのインパクトファクターと図のガイドを併せて読んでください。2誌の差分こそが、移管が生み出す作業そのものだからです。スケールの反対側にある対照的な引用プロファイルとしては、Natureのインパクトファクターと図のガイドが、2年値と5年値がほぼ重なるジャーナルを扱っています。そしてScientific Reportsの図の要件ガイドは、著者がこのジャーナルと天秤にかけるもう1つの大型総合オープンアクセス誌を扱っています。

参考資料

  1. PNAS Nexus — About the journalNational Academy of Sciences / Oxford University Presshttps://academic.oup.com/pnasnexus/pages/about2026年8月12日 閲覧
  2. PNAS Nexus — Author guidelines (general instructions)National Academy of Sciences / Oxford University Presshttps://academic.oup.com/pnasnexus/pages/general-instructions2026年8月12日 閲覧
  3. PNAS Nexus — Open access and publication fees (OUP charge calculator)Oxford University Presshttps://academic.oup.com/pnasnexus/pages/general-instructions#Open%20Access2026年8月12日 閲覧
  4. PNAS — Article and journal metricsNational Academy of Scienceshttps://www.pnas.org/about/article-journal-metrics2026年8月12日 閲覧
  5. PNAS — Digital Art Guidelines (PDF)National Academy of Scienceshttps://www.pnas.org/pb-assets/authors/digitalart-1675347574760.pdf2026年8月12日 閲覧
  6. PNAS — Submitting your manuscript (Information for Authors)National Academy of Scienceshttps://www.pnas.org/author-center/submitting-your-manuscript2026年8月12日 閲覧
  7. Clarivate — 2024 Journal Citation Reports: changes in Journal Impact Factor category rankingsClarivatehttps://clarivate.com/academia-government/blog/2024-journal-citation-reports-changes-in-journal-impact-factor-category-rankings-to-enhance-transparency-and-inclusivity/2026年8月12日 閲覧

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