散布図作成ツール(スキャッタープロットメーカー)
x と y の組から、論文、学位論文、実験レポート用の散布図を作ります。回帰直線、r、R²、p は目分量ではなく計算で求めます。群分けしたデータ、1:1 の直線、両対数軸、残差プロットも描けます。
散布図のスタイル
5 つのジャーナルプリセットを、それぞれ別の研究で描きました。スピアマンの ρ を付けた MYC と CCND1 の発現量、BCA 法によるタンパク質定量の検量線、3 つの遺伝子型のニューロンでの ROS、95% 信頼帯付きの HbA1c と空腹時血糖、試験の点数とその残差。
散布図の例
カードに載せたプロンプトとデータの組を、このツールで実際に描いた散布図 4 例です。樹木 14 種の葉の窒素量と光合成能力(回帰直線と p 付き)、アデリーペンギンとジェンツーペンギンのくちばしの長さと高さ(種ごとに 1 本の直線)、検査室の分析装置と照らし合わせた血糖測定器(1:1 の直線付き)、両対数軸で描いた哺乳類の代謝率のべき乗則。カードをクリックすると、プロンプトとデータが上の入力欄に読み込まれます。
散布図とは?
散布図は、2 つの数量の変数がどう一緒に変わるかを示すグラフです。観測値 1 つが 1 つの点になり、横に x の値、縦に y の値をとった位置に置かれます。 ふつうは反応にあたる変数を y 軸に、それを左右すると考える変数を x 軸にとります。点の集まりからは、関係の向き、まとまりの強さ、直線的か曲がっているか、ほかから離れた観測値がどれかが読み取れます。最小二乗法で当てはめた直線(回帰直線)は直線的な傾向を要約し、ピアソンの相関係数 r と決定係数 R² は点がその直線にどれだけ沿っているかを数値で表します。散布図が示すのは関連だけで、どちらの変数が原因かはわかりません。
この散布図作成ツールについて
- 組をかっこで書くか(対照: (1, 2.1), (2, 3.9)…)、同じ長さのリストを 2 つ書きます。表計算ファイルも使えます。.csv・.tsv・.xlsx を 3 つまで添付でき、1 つの列に x、その隣に各系列の y を置きます。
- 回帰直線、ピアソンの r、R²、両側 p 値、スピアマンの ρ は、入力した組からコードで計算し、全点の座標とともに画像モデルに渡します。モデルはそれを配置するだけです。
- 群は 4 つまでで、群ごとにマーカーの形、直線、r が付きます。全体をまとめて 1 本で当てはめたいときは「全群で 1 本の直線」と書いてください。
- 300 組を超えると図には無作為に選んだ 300 組を描き、その旨を明記します。統計量と直線はすべての組から求めます。
- オプションはふつうの言葉で指定できます。1:1 の直線(y = x)、両対数軸、残差プロット、95% 信頼帯、回帰式、0 から始まる軸、点のラベルなどです。
このツールで作れる散布図
論文、学位論文、実験レポートに出てくる 7 種類の散布図と、それぞれが点の集まりに何を加えるのか、ツールに描かせるための書き方です。
回帰直線付きの散布図
回帰直線は x に対する y の最小二乗回帰直線で、すべての直線のうち、点までの縦方向の距離の二乗和が最も小さいものです。 このツールの既定で、計算した 2 つの端点からプロット領域の端から端まで引き、r、R²、n を最も空いている隅に記します。表計算ソフトでは近似曲線(線形近似)と呼ばれます。「回帰式を表示」と書けば y = bx + a が、「95% 信頼帯付き」と書けば x の平均で最も狭くなる影付きの帯が加わります。
散布図の相関:r、R²、p
r は点がどれだけ直線に沿っているかとその向きを、R² は y の分散のうち直線で説明できる割合を表します。「p 値」と書くと、隅に r = 0 の t 検定(自由度 n − 2)の両側 p 値が加わります。関係が一貫して増えるか減るものの直線ではないときや、極端な 1 点が支配的なときは、スピアマンを指定して順位相関を求めます。統計量だけ残して直線を消すなら「回帰直線なし」と書いてください。
群分けした散布図
2〜4 の群が軸を共有し、群ごとにマーカーの形(丸、三角、四角、ひし形)と色、回帰直線、凡例の r が付きます。 各群の名前を組の前に書きます。アデリー: (35.3, 16.2)… ジェンツー: (43, 14.1)…。まとめる前に群ごとに見てください。2 つのまとまりがそれぞれ右下がりでも、両方を通す 1 本の直線は右上がりになることがあります。
1:1 の直線を引いた測定法比較の散布図
2 つの測定法の値を互いに対してプロットし、両軸を共通の範囲にそろえるので、y = x の破線(恒等線)が正方形のプロット領域の対角線になります。 この線上の点は完全に一致しています。隣に引いた回帰直線からは、一定のずれ(切片)や比例的な偏り(傾きが 1 から離れる)がわかります。r が高いことは 2 つの方法がサンプルを同じ順に並べることを示すだけで、一致していることを意味しません。臨床化学でこの図を差の Bland–Altman プロットと組み合わせるのはそのためです。
両対数の散布図
両軸を 10 の累乗の目盛りにするので、べき乗則 y = a·xᵇ が直線になり、その傾きが指数 b になります。 当てはめは log₁₀ x と log₁₀ y で計算します。アロメトリーの関係を推定するときの方法で、哺乳類の代謝率と体重の関係は古典的な 4 分の 3 に近い傾きになります。値はすべて 0 より大きくなければならず、そうでない値があれば軸は線形のままにして、その旨を図に記します。片対数にもでき、「y 軸を対数スケールで」と書きます。
残差プロット
各点の残差(観測した y から回帰直線上の y を引いた値)を、x または予測値に対して、0 の破線のまわりに描きます。 形のない帯なら直線で十分、曲線なら関係が線形ではなく、じょうご形なら x とともにばらつきが大きくなっています。残差だけなら「残差プロット」、上に散布図、下に同じ x の目盛りで残差のパネルを置くなら「下に残差を付けて」と書いてください。
検量線
吸光度、シグナル、ピーク面積を標準試料の既知の濃度に対して描き、直線を当てはめます。その式で、未知試料の読み値を濃度に換算します。 回帰式と R² を指定すると、隅に y = bx + a を有効数字 4 桁で、R² を小数第 2 位まで(2 桁だと 1 に丸まってしまうときは第 3 位まで)記します。直線を原点に通すことはせず、ブランクは濃度 0 の点として残してください。
散布図の作り方
データの組を入力する
かっこ付きの (x, y) で群ごとに 1 行ずつ書くか、名前を付けた同じ長さのリストを 2 つ書きます(身長(cm): 160, 172, 181。体重(kg): 55, 68, 80)。表計算ファイルを添付する場合は、最初の数値の列に x、その次に y を置きます。
図に載せるものを指定する
両軸の名前を単位とともに書き、必要なものを加えます。p 値、回帰式、スピアマンの ρ、1:1 の直線(y = x)、両対数軸、信頼帯、残差のパネルなどです。何も指定しなければ、点、回帰直線、r、R²、n が描かれます。
ジャーナルスタイルを選んで描く
Nature、Science、Cell Press、臨床系グレースケール、ダークスライドから選んで生成します。白抜きか塗りつぶしのマーカー、直線の色はスタイルに従いますが、座標、直線の端点、記される統計量はコードで計算したままです。
回帰直線、r、R² の公式
最小二乗法は、点から直線までの縦方向の距離の二乗和が最小になるように傾き b と切片 a を選びます。r は同じ偏差の積和を、両方の変数のばらつきで割ったものです。 Sxx = Σ(x − x̄)²、Syy = Σ(y − ȳ)²、Sxy = Σ(x − x̄)(y − ȳ) とすると、このツールが計算するのは下の式で、右端の r の検定から p 値が得られます。
b = Sxy ÷ Sxx a = ȳ − b·x̄ r = Sxy ÷ √(Sxx·Syy) R² = r² t = r·√((n − 2) ÷ (1 − r²)), df = n − 2
言葉で説明すると
傾きは、x が 1 単位増えたときに y が平均してどれだけ変わるかです。直線は必ず平均の点 (x̄, ȳ) を通ります。r は −1(すべての点が右下がりの直線上)から 0(直線的な傾向なし)を経て +1(すべての点が右上がりの直線上)までの値をとり、二乗した R² は y の変動のうち直線で説明できる割合です。t 統計量は、相関がまったくないデータから、これだけ 0 から離れた r が出るかどうかを問います。p は n が大きくなるほど小さくなるので、大きなサンプルでは弱い r でも有意になります。
この直線は y を x に回帰したものです。x を y に回帰すると、r が ±1 でない限り別の直線になるので、予測したい変数を y 軸に置いてください。対数軸では、どの式も log₁₀ の値に対して適用します。
散布図から相関を読み取る
点の集まりの見た目、それにふつう伴う r、報告する前に確かめることをまとめました。区切りの値はおおよその目安で、決まりではありません。
| 点の様子 | r の目安 | 報告する前に確かめること |
|---|---|---|
| 右上がりか右下がりの 1 本の直線にほぼ乗る | +1 または −1 に近い | 一致が本物か、作りから生じたものか。ある変数を、それを含む合計に対してプロットした場合など |
| はっきり傾いた楕円になる | ±0.5〜±0.8 程度 | n を添えた p 値と、曲がりを見るための残差プロット |
| ばらつきが大きく、弱く傾く | ±0.1〜±0.3 程度 | 大きな n のせいで小さな効果が有意になっていないか |
| 丸い、または形のない集まりになる | 0 に近い | x の範囲が狭すぎて傾向が見えなくなっていないか |
| 曲線、山形、U 字形に沿う | 強い関係があっても 0 に近いことがある | 対数軸、スピアマンの ρ、または直線の代わりに曲線のモデル |
| 集まりから 1 点だけ大きく離れている | その 1 点で ±1 か 0 の方へ引っ張られる | その点を含めた r と除いた r、値を順位に置き換えるスピアマンの ρ |
同じ r が、まったく違う散布図から出てくることがあります。 アンスコムの 4 つのデータセットは平均、分散、r、回帰直線が共通なのに、1 つは直線的な傾向、1 つは曲線、1 つは外れ値のある直線、1 つは縦に積み重なった点と遠く離れた 1 点です。係数だけでなく図を示すのはこのためです。
散布図と折れ線グラフの違い
散布図は順序のない組とそれを通る傾向を示し、折れ線グラフは時間や用量のような x の順に点を結んで変化を示します。 隣り合う点を結ぶことに意味があるかどうかで選びます。
| 散布図 | 折れ線グラフ | |
|---|---|---|
| 1 つの点が表すもの | 1 人の対象者、1 つのサンプル、1 回の観測 | 1 つの x の位置での値(多くは平均値) |
| 点を結ぶか | 結ばない。行の順番に意味はない | 結ぶ。x の順に |
| 1 つの x に y が複数 | ふつうのことで、縦に重なる | 多くは平均とエラーバーにまとめる |
| 線が示すもの | 点の集まり全体に当てはめた傾向 | ある x の値から次の値への道筋 |
| 典型的な図 | 腫瘍 40 例での遺伝子 A と遺伝子 B の発現量 | 処置群と対照群のマウスでの 21 日間の腫瘍体積 |
同じ対象者を時間を追って測ったデータには折れ線グラフ作成ツールを使ってください。多くの変数の間の相関を一度に示すなら、散布図を格子状に並べるより、ヒートマップ作成ツールで描く相関行列の方が収まりがよくなります。
散布図についての質問
散布図はどうやって作る?
目的変数を y 軸に、説明変数を x 軸にとり、観測値ごとにその値の組の位置へ点を 1 つ置きます。 軸の範囲はデータより少し広めにとり、両軸に単位付きのラベルを付け、報告したいのが直線的な傾向であるときだけ回帰直線を加えます。このツールでは組を入力するか表計算ファイルを添付すれば、軸、直線、統計量が描く前に計算されます。
散布図の x 軸にはどちらの変数を置く?
説明変数(独立変数)を x に、目的変数(反応)を y に置きます。 用量、時間、濃度、体の大きさはふつう横軸に、それに応じて測ったものは縦軸に来ます。2 つの遺伝子の発現量のようにどちらも原因でないときは、予測のもとにしたい方を x に置きます。最小二乗の直線は x から y を予測するものだからです。
散布図の r と R² はどう違う?
r は −1 から +1 の相関係数で向きを持ち、R² は r の二乗で 0 から 1 の値をとり、y の分散のうち直線で説明できる割合です。 r = −0.7 でも r = +0.7 でも R² = 0.49 になります。相関なら r を、回帰直線の当てはまりなら R² を報告します。多くの分野のジャーナルは、r に p と n を添えることを求めます。
Excel の近似曲線と回帰直線は同じもの?
直線なら同じです。どちらも x に対する y の通常の最小二乗回帰です。 表計算ソフトでは線形近似の近似曲線、統計の教科書では最小二乗直線や回帰直線と呼びます。このツールは常にこの直線を当てはめ、軸が対数なら対数値で計算し、指定すれば回帰式を記します。
r の横にある p 値は何を意味する?
真の相関が 0 だとしたときに、少なくともこれだけ 0 から離れた相関が得られる確率で、自由度 n − 2 の t 検定から求めます。 p が小さければ傾向が偶然とは考えにくいことを示しますが、傾向の強さについては何も言いません。500 点あれば r = 0.1 でも p ≈ 0.025 になるので、p の横に r と n を書いてください。
ピアソンの r ではなくスピアマンの ρ を使うのはいつ?
関係が一貫して増えるか減るものの直線ではないとき、データが順位や評点のとき、外れ値が r を支配しているときです。 スピアマンの ρ は x と y の順位から計算したピアソンの r なので、単調な傾向なら何でも測ることができ、極端な値も最上位の順位として数えられるだけです。「スピアマン」と書けば両方の係数が記されます。
散布図の軸は 0 から始めるべき?
いいえ。棒グラフと違い、散布図の軸は原点ではなくデータの範囲をカバーすべきです。 0 を無理に入れると点の集まりが隅に押し込まれ、傾向が見えなくなります。検量線のブランクや読者に見せたい切片のように、0 がその図にとって意味を持つときだけ含めてください。その場合は「0 から始まる軸」と書きます。
散布図、XY グラフ、ドットプロットの違いは?
XY グラフは 2 本の数値の軸で描くグラフの総称で、散布図は点を結ばない XY グラフです。 ドットプロットはまた別物で、数値の軸は 1 本だけ、各観測値をカテゴリや値ごとにその軸に沿って点で積み上げます。示すのは 2 変数の関係ではなく分布です。
多くの変数の間の相関を示すには?
変数が 6 つ以上あると組は 15 以上になり、論文で散布図を別々に並べるには多すぎるので、ふつうはヒートマップで描いた相関行列を使います。 相関行列はヒートマップ作成ツールで作り、ここでは論文の主題となる 1〜2 組について、読者が点を見る必要のある散布図を描いてください。
散布図の図の説明文はどう書く?
各点が何か、直線が何か、どの統計量を検定したかを、n とともに書きます。 例:「各点は 1 つの樹種(n = 14)。直線は最小二乗回帰直線。ピアソンの r = 0.93、両側 p < 0.001。」群の名前を挙げ、対数スケールならそう明記し、描いた点が大きなサンプルの一部ならそれも書きます。
AI が数値を変えることはない?
ありません。各点の座標、軸の目盛り、回帰直線の 2 つの端点、記される r、R²、p、n はコードで計算して画像モデルに伝え、モデルはそれを配置するだけです。 点を動かす、加える、落とす、直線を引き直すことは一切しないよう指示しています。300 組を超えると描く点は無作為に選んだ 300 組になりますが、統計量はすべての組を使います。
出典
- 1.3.3.26. Scatter Plot — NIST/SEMATECH e-Handbook of Statistical Methods
- 12.4 Testing the Significance of the Correlation Coefficient — OpenStax, Introductory Statistics 2e
関連ツールと記事
ほかの図表作成ツールと、その読み方をまとめた記事。